超情報化社会の到来とAI時代におけるWebの重要性



情報収集の手段は昔ながらのテレビや新聞、雑誌に加えて、インターネットの普及でWebを活用する人が増え、人々の生活にはデジタルデバイスは欠かせない存在となっております。
特にインターネットやデジタル機器がある環境で生まれ育ったデジタルネイティブ世代は、小さなコンピュータであるスマートフォンで多くのことをこなす、またはこなそうと考えています。また別の世代もその利便性に気づいた時に、うまくその物やサービスを活用していきます。
そして昨今では様々なAIツールの登場で、情報収集の手段にまた変化が起ころうとしています。

その代表的な例が、検索結果の一番上に「AIによる要約回答」を表示する、GoogleのAIモードです。

この機能が登場したことで、Webサイト運営のルールが大きく変わりました。これまでの『検索順位を上げるための対策(SEO)』はもちろん重要ですが、それに加えてこれからは『GoogleのAIモードに、信頼できる情報源として選んでもらうための対策(AIO)』が成功の鍵を握ります。

情報は企業間や個人間、企業と個人間とさまざまな関係で利用されるコミュニケーションツールです。
ビジネスでは主に、企業と企業または企業と顧客とのコミュニケーションになりますが、まずは認知と信頼関係の構築が必要になります。

企業の価値やイメージを高く認知してもらうには、パフレットやチラシなどの紙媒体やWebで情報共有が重要になり、その土台となるのがWebサイト(ホームページ)になります。

ここでは、超情報化社会の到来とAI時代におけるWebの重要性についてお話していきます。

情報化社会とWeb


インターネット上のさまざまな情報や資源を結びつける仕組みであるWebの発展により、人々がインターネットを通じでコミュニケーションを取り、情報を共有することができるようになりました。これによって、昔はテレビや新聞社などしかできなかった情報の発信を、今では誰もができるようになり、個人でも世界中の人に向けて自分の考えや知識を簡単に伝えられるようになりました。

その情報を提供する場としては、企業のWebサイトや個人サイト、ブログ、ニュースメディア、SNS(ソーシャルメディア)、そしてオンラインショッピングと、それぞれが独自の役割を持つ、さまざまな形態のものが存在します。

超情報化社会では、ビッグデータを利用したAI(人工知能)の活用が進み、必要な情報を抽出・分析して人が意思決定ができるまでの質の高い情報とするには、インターネット上の情報が重要な役割を果たすことになります。AIは、インターネット上にある膨大な情報を元にして学習し、私たちの質問への答えを考えています。そのため、Webサイトの情報が正確で詳しければAIも賢い答えを返せますが、もし元の情報が間違っていれば、AIの答えも当然、間違ったものになってしまいます。

AIを活用した情報収集


昨今は、OpenAIのChatGPTやMicrosoft Copilot、またGoogleのGeminiなど、様々なAIチャットボットが登場しました。これまでのインターネットを用いた情報収集は、Webブラウザによる検索やSNS等で行ってきましたが、AIチャットボットは手軽に利用できることもあり、今後はAIツールを活用した情報収集が加速することでしょう。

AIボットは膨大なデータを学習しており、主にインターネット上のテキストデータ、SNSやブログニュースなどの投稿記事のデータをもとに情報を処理し、私たちの質問に対して回答を返しくれます。
新しい情報を調べたりまとめたりする時間が短縮できることを考えると、AIツールを利用することはとても大きなメリットとなります。

AIツールが発展してくると気になるのは、Webコンテンツの価値ではないでしょうか。
Webサイトやオウンドメディアまたはブログ等の価値は薄れてしまうのではないか? そう考えてしまうかもしれません。
しかしAIが学習する情報というのは、AIツール上でやりとりした情報だけでなく、インターネット上の情報も含まれていますので、これまでと同様にWebコンテンツでも、ユーザのニーズを把握してそれに応える情報を提供していく必要があります。

AIチャットボットは参考情報も返してくれる


例として、AI検索エンジンのFeloやPerplexityを使った情報収集の場合、ユーザの質問に対する回答に必ず参考情報として、回答に関連するWebサイトのURLも返してくれます。

Feloでは以下のように、回答スペースの右にソース情報として参考URLが表示されます。

FeloのAIチャットボットの回答と参考情報URL



またPerplexityでは、回答スペースの上にソース情報として参考URLが表示されます。
また、必要であれば回答と合わせて、質問内容に関連する動画や画像も、回答スペースの右の項目より手軽に検索することができます。

PerplexityのAIチャットボットの回答と参考情報URL



動画検索を実行した場合、質問内容に関連する最適な動画を、YouTube等の動画メディアなどから探し出して提示してくれます。
画像検索でも同じように、Webから参考となる画像を表示してくれます。

PerplexityのAIチャットボットの回答と動画検索・画像検索



AIチャットボットの回答は時に正確性を欠くこともあります。返ってきた回答と合わせて参考としたソース元や関連する動画、画像にも手軽にアクセスできることで、ユーザー自身でもいろんな情報を吟味して情報を整理していくことができます。
これは情報を効果的に活用するための、とても素晴らしい仕様だと思います。

Web制作の段階でしっかりと画像や図を作成したり、画像にわかりやすく説明を入れておくことができれば、通常の検索エンジンの画像検索はもちろん、AI検索エンジンの画像検索でも表示されるようになることでしょう。

ChatGPTでは、検索エンジンと生成AIを組み合わせた機能で、無料ユーザーにも提供されたChatGPT searchでも、「検索する」の設定をオンにすることでWeb検索ができ、回答に参考サイトのURLが表示されたり、動画コンテンツの情報も提示してくれます。

ChatGPT searchの回答と参考情報URLと動画コンテンツ



動画コンテンツはかなりの確率で提示されるので、Webだけでなく動画メディアにも力を入れるといいでしょう。

またChatGPTと同じく、無料ユーザーにも提供されたX(旧Twitter)の生成AI「Grok」では、回答スペースの上に関連するWebページや関連するXのポストが表示され、選択することで確認できます。
回答には参考サイトの情報がアイコンで表示され、手軽にアクセスできるようになっています。

Xの生成AI「Grok」での回答と参考情報URL、ポスト



このように、多くのAI検索エンジンが利用される時代では、ユーザーが求める情報をAIにも好まれる情報として、SNSでもしっかりと発信する必要があるでしょう。

検索を変える「GoogleのAIモード」(AIオーバービュー)


様々なAI検索ツールの中でも、Webサイト運営に最も大きな影響を与えるのが、Googleが導入した「GoogleのAIモード」(公式名称:AIオーバービュー)です。

これは、検索結果の最上部にAIが生成した要約を表示する機能で、ユーザーは複数のサイトを回遊しなくても、概要を素早く把握できるようになります。

GoogleのAIモードの検索結果と参考となるサイトリンク

「GoogleのAIモード」がもたらす変化とAIOの重要性


このGoogleのAIモードの登場は、私たちWebサイト運営者にとって、大きな「危機」と「機会」の両面をもたらします。

危機(脅威)
ユーザーがAIの要約だけで満足し、個別のWebサイトをクリックせずに離脱する「ゼロクリック検索」が増加する可能性があります。
機会(チャンス)
GoogleのAIモードの参照元として自社のWebサイトが引用されれば、それは従来の「検索結果1位」以上の強い信頼性の証となり、非常に質の高いアクセスが見込めます。


この変化に対応するためには、GoogleのAIモードにとって「信頼できる、価値の高い情報源」と認識され、回答の根拠として参照されることを目指すAIO(AI Optimization)の考え方が不可欠です。


AIは、専門性・経験・権威性・信頼性(E-E-A-T)が高いコンテンツを評価します。これまで以上に、ユーザーの問題解決に真に役立つ、質の高い情報をWebサイトで発信し続けることが、AI時代を勝ち抜く鍵となります。

情報を利用するまでに必要なこと


人々が情報を必要とする時は、何かの問題に直面しそれを解決するために情報収集します。これは仕事においてもプライベートにおいても生きていくために必要なことであります。
インターネット上の情報は、正しい情報のほかに誤った情報もあるため、AIチャットボットが返す回答が必ずしもより正しいものとは限りません。またより正しい情報の中でもその正確性や妥当性があるのかは、科学的根拠(エビデンス)があるかどうかが重要になってきます。

AIチャットボットが回答した情報が絶対正しいと思ってその情報をもとに行動し、もしトラブルになったとしても、それは意思決定して行動した自分自身の責任となります。ですので、情報収集して行動に移すためには、たくさんの情報からより正しい情報を探し出して整理しなければなりません。ある程度の情報はAIがまとめてくれますが、そのあとは自分自身で情報を吟味していかなくてはいけないので、AIが返してくれた参考情報はしっかり活用していく必要があります。

AIはあくまで私たちをサポートしてくれる存在であり、人間はAIのサポートを受けて学ばなくてはいけません。
これは、これまでの検索エンジンやSNS等での情報収集でも同じです。
情報化社会で私たちがより正しい選択・行動をするためには、情報リテラシー(情報を読み書きして利用できる能力)が求められます。

Webの活用


今後、AIチャットボットが検索エンジンになり変わったとしても、インターネット上の情報は重要な資源となります。

重要な決断をする時は、その利用するサービスをもっと詳しく調べることでしょう。そうした場合には、サービスの詳しい情報を調べる事はもちろん、企業の情報がしっかりインターネット上で確認できないと、信頼して利用してもらえません。
そのため、Webサイトはとても重要な役割を果たします。

おもにコンテンツ制作に重要になるのは、以下の3つの要素になります。

  • 見込み顧客を想定した情報の提供
  • ユーザーの意図や目的に合わせたコンテンツの作成
  • 提供分野における問題と解決方法


どれも重要ではありますが、3つ目の提供分野における問題と解決方法については、AIとの対話形式では参考材料となるデータであり、今後1番重要なコンテンツになるのではないかと考えられますので、マーケティングリサーチを行ったり、これまでのユーザーのフィードバックに基づいてコンテンツを作成していくといいでしょう。

Webサイトの運用において多くの方が意識するSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)も、人々がAIツールでさまざまな情報を収集するようになると、今後はAIチャットボット最適化を意識する必要が出てくるかもしれません。
ユーザーが求めることに情報をしっかりWebサイトで発信することができれば、AIチャットボットからのアクセスも増え、多くの方に企業の名前と自社の事業やサービスを知ってもらうことができます。

GoogleのAIモードに選ばれるための3つのポイント

では、具体的にどうすればGoogleのAIモードやAIチャットボットに情報源として選ばれやすくなるのでしょうか。
AIOで特に重要なのは以下の3つの要素です。

著者情報と専門性の明記
「誰が」この記事を書いたのかを明確にし、その人物や企業がその分野の専門家であることをプロフィールや会社概要ページで具体的に示します。GoogleのAIモードは情報の信頼性を担保するために「誰の発信か」を重視しています。
一次情報と独自性の追求
AIが自動生成できない、あなた自身の体験談、独自の調査データ、顧客の事例紹介、専門家へのインタビューなどをコンテンツに含めることが極めて重要です。これが他のサイトとの決定的な差別化要因となります。
情報の網羅性と正確性の担保
ユーザーの疑問がその記事だけで完全に解決するように、関連情報も網羅し、すべての情報が正確であることを保証します。公的なデータや研究結果を引用し、参考文献や情報源を明記することも信頼性を高めます。


これら3つのポイントは、いずれも小手先のテクニックではなく、ユーザーと誠実に向き合うための本質的な取り組みです。このような質の高い情報発信こそが、これからのGoogleのAIモードやAIチャットボットに評価されるための方法となります。

WebサイトとSNSの連携


ユーザの行動はさまざまで、これまでの検索エンジンそして今後増えるAIチャットボットの他、スマートフォンを中心に手軽に利用できるSNSも頻繁に活用します。

営業では、いろんな場所に顔をだして自分たちのことを知ってもらわないとなにも始まりません。これはインターネット上でも同じです。
SNSの運用方法によって変わってきますが、多くのユーザーが集まる人気のSNSで自分たちの情報を見てもらえる機会を増やせば、徐々に認知度を高めることができるでしょう。

SNSでは投稿でもプロフィール欄でも、入力できる文字数の制限があり、すべてのことを発信することは難しいです。ただ多くのSNSでは、投稿やプロフィール欄にWebサイトのURLを共有することができるので、詳しい情報はWebサイトでしっかり提供できるようにしておくといいでしょう。

Webサイトは24時間働いてくれる営業マン


これまでにお話してきました企業サイトや個人サイト、ブログ、ニュースメディア、SNSなどのWebコンテンツは、いつでもどこでも誰でもアクセスできるので、見込み顧客を中心に自分たちのことを知ってもらえる機会を増やすことができます。

Webは24時間働いてくれる営業マンであります。
私たちが働いていない時間もずっと働き続けてくれる、とても心強い味方です。

まとめ


超情報化社会とAI時代の到来で、ユーザーの情報収集方法は少しずつ変化していきますが、ベースとなるのはインターネット上のテキストデータでありますので、ブランディングを高めるにはさまざまな場面で活用できるWebサイトは非常に重要な存在です。

これまでの検索エンジンだけでなくAIツールも意識して、Webサイトのデザイン設計からコンテンツ制作を考えていくといいでしょう。