Premiere Proで縦長動画を作成す方法



YouTubeのショート動画やTikTok、またInstagramのリールやストーリーズなどは、手軽にアクセスできることもあり、多くのユーザーが利用しています。
プライベートはもちろん、ビジネスでも便利に活用できるサービスです。

クオリティの高い動画コンテンツを投稿していきたい場合は、事前に撮影した動画を編集して作り込んでから投稿しますが、これらのショート動画は、主にスマートフォンで利用するため、縦長の動画を用意する必要があります。

ここでは、Premiere Proを使って縦長動画を作成する方法についてご紹介します。

縦長動画の作成方法のご紹介の前に、WebサービスやSNSで動画の長さの制限についてお話しておきますと、動画の尺は利用するサービスによって違います。
以下の内容を把握してうえで、必要な映像データを使って編集を行い、動画を作成してください。

YouTubeショート動画:最大60秒
TikTok:最大10分
Instagramストーリーズ:最大60秒
Instagramリール:最大90秒


それでは、縦長動画の作成方法について見ていきます。

縦長動画の作成方法


ここでご紹介するサンプルでは、先に動画作成につかう映像データを読み込んでから、縦長動画の作成の準備に入ります。

まずは、プロジェクトパネルを表示します。
お使いのバージョンによっては、新規プロジェクトを立ち上げた時に表示されている場合もありますが、表示されていない場合は、ウィンドウメニューからプロジェクトの項目を選択して表示することができます。
(ウィンドウメニューの項目は、今後も必要なパネルを表示する時に操作していきます)

ウィンドウメニューからプロジェクトパネルを表示する



プロジェクトパネルに、必要な映像データまたは画像データなどを準備しておきます。
プロジェクトパネルで右クリックから「読み込み」を選択、またはプロジェクトパネルをダブルクリックしてフォルダを表示し、
コンピュータ内から必要なデータを選択して読み込みます。ドラッグ&ドロップでも手軽に読み込むことができます。
(サンプルでは縦長と横長と両方の映像データを用意しました)

縦長動画を作成するには、アスペクト比(縦横比)を縦長としたシーケンスを用意する必要があります。
シーケンスとは、映像を編集していくなかで決められたサイズの入れ物のようなものです。
ファイルメニュー「新規」の項目から「シーケンス」を選択します。

アスペクト比(縦横比)を縦長としたシーケンスを作成する



シーケンスの設定ウィンドウが表示されます。
シーケンスプリセットのタブでは、HD 1080p アスペクト比 16:9 の前もってセットされている横長のシーケンスなどがあります。

設定」のタブを選択して縦長動画用の設定を行います。

Premiere Proのシーケンス設定



最低限確認しておきたい・変更する必要がある設定は、編集モード、タイムベース、フレームサイズの3つです。
編集モードは「カスタム」になっていることを確認し、タイムベースを「24.00 フレーム/秒」に設定します。
そしてフレームサイズでは、縦長動画のアスペクト比は9:16で最低でも1080×1920になりますので、横1080px 縦1920pxに設定します。一番右の枠に9:16と表示されているのを確認しましょう。
なお、このカスタム設定は「プリセットの保存」ボタンを選択するとシーケンスプリセットに登録されますので、後から手軽にカスタムの設定から選択してシーケンスを作成することができます。
シーケンスプリセットではソーシャルメディア用に、フレームレートが30fps(30.00 フレーム/秒)に設定されているシーケンスもあります。
今回はカスタマイズも含めて覚えていきます。

設定できましたら、「OK」ボタンを選択してシーケンスの作成完了です。

Premiere Proのシーケンスのカスタマイズ(縦長動画用)



タイムベースの設定では、フレームレート(fps)を設定しています。
フレームレートとは、1秒間の動画が何枚の画像で構成されているかを示す単位のことで、テレビの映像ではスムーズと思えるフレームレートは、24fps〜30fps程度といわれています。ゲームやYouTubeは60fpsが推奨されています。
60fpsの方がより滑らかな映像となりますが、データ容量が大きくなることや、30fpsのもとの映像データを60fpsで作成すると色に関する数値が変更されることから、すこし色が暗くなる(色化けする)ようなことが起こりますので、データの情報も把握しておくことも必要になります。
大体は24fps〜30fpsで問題ありません。激しい動きがある場合は、30fpsとしておくといいでしょう。
ここでのサンプルでは24fpsとします。

ちなみに、フレームレートの設定は実際のフレームの数値と少し誤差があります。

24fps (実際のフレーム:23.976fps)
30fps (実際のフレーム:29.97fps)
60fps (実際のフレーム:59.94fps)


後の設定の確認でも表示されますので知っておくといいでしょう。

これで縦長動画の作成の準備が完了です。
プログラムパネルにてシーケンスが用意されているのが確認できます。

縦長動画用のシーケンスを用意



あとはフレームサイズに合わせて動画を作成していきます。

映像データとフレームサイズの調整


動画作成の際に、利用する映像データのフレームレートやフレームサイズなどの様々な設定の違いにより、シーケンスの設定と一致しないことはよくあります。

プロジェクトパネルからタイムラインパネルに映像データを取り込む際に、「このクリップはシーケンス設定と一致していません。クリップに合わせてシーケンスを変更しますか?」というメッセージが表示されますので、「現在の設定を維持」のボタンを選択してシーケンスの設定に合わせるようにしましょう。

映像データの取り込み時に現在のシーケンス設定を維持する



また、フレームサイズの調整も重要です。
縦長動画のデータを取り込んで確認してみますと、スマートフォンやタブレットなど、各端末によってフレームサイズに違いがあり、シーケンスのフレームサイズに合わずに拡大されて表示されることもあります。
ウィンドウメニューからエフェクトコントロールパネルを表示して、ビデオの項目のスケールを数値で調整する必要が出てきます。(もとの映像データが2倍サイズである場合は50とします)
一番手軽なのが、タイムラインパネルにて映像データを右クリックして、「フレームサイズに合わせてスケール」の項目を選択すると、自動でフレームサイズに合わせてくれます。

映像データのフレームをシーケンスのフレームサイズに合わせてスケールする



横長動画のデータでは、もちろん縦長のフレームには収まらず、タイムラインパネルに取り込むとフレームの中央部分が表示されます。

縦長動画のシーケンス設定に対する横長動画のフレーム



横長動画ではエフェクトコントロールパネルにて、スケールのみでなく位置も調整する必要があります。
表示できるフレームの範囲は限られますが、動画コンテンツとしてうまく活用できる範囲に合わせるようにしましょう。

縦長動画のシーケンス設定に対する横長動画のフレームサイズの調整



横長動画のデータのフレームを広い範囲で使いたい場合は、少し引いて上下どちらかの余白にテキストを挿入してコンテンツを作成するといいでしょう。
あとは、基本的な映像の切り替えとして、エフェクトの設定など。(サンプルではビデオトランジションのクロスディゾルブを設定)

フレームの余白の対応と映像の繋ぎの編集



まだPremiere Proでの動画編集に慣れていない方は、以下の記事で簡単な編集方法をご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

縦長動画の書き出し


縦長動画の作成での動画の書き出しでは、シーケンス設定に合わせる必要があります。
まずは通常の流れで、ファイルメニューから「書き出し」と進み、「メディア」の項目を選択します。

Premiere Proでの縦長動画の書き出し



書き出し設定のウィンドウが表示されましたら、まずファイル名はわかりやすい名前にしておきます。
次にビデオの設定項目にある基本ビデオ設定にて、「ソースにあわせる」のボタンを選択してシーケンスの設定に合わせます。
これで、プリセットの情報であったりフレームサイズ、フレームレートなどの設定がソースに合わせて決定されます。
内容はプレビューの下のソースと出力の情報で確認できます。

設定できましたら、「書き出し」ボタンを選択して動画の書き出しを行います。

シーケンス設定に合わせて縦長動画を書き出す

最後に


動画制作というと通常は横長の動画を作成していくと思いますが、縦長動画の制作もWebサービスやSNSなど様々な場面で必要になってきます。

YouTubeショートやTikTok、Instagramストーリーズ、Instagramリールのほか、XやBluesky、Threadsなどの投稿でもスマートフォンでは縦長の方が閲覧しやすいです。
多くのユーザーに閲覧してもらえる可能性のあるショート動画。それに合わせて手の込んだ縦長動画を作れるといいでしょう。